地球環境高校 3 - 1 立正大淞南高校
イクヲちゃんが帰ってきた。99年、川崎フロンターレサポーターに幸せを運んでくれた(注1)松本育夫が地球環境高校の監督として帰ってきた。御年61歳。バリバリの現役である。フロンターレを優勝、1部昇格させたにもかかわらず翌年、閑職に追いやられ、不遇を囲っていた氏は川崎との契約が切れると長野県地球環境高校の監督として就任し、創部7ヶ月で全国大会の長野代表までたたき上げた。当時、氏と一緒に熱狂し、日本中を歩いた私としては見に行かねばならぬ。相手は島根県代表の立正大淞南高校。実力を見るには手ごろな相手ではある。
(注)フロンターレ監督としての松本氏については川崎サポの間でも意見が分かれる。結果として昇格させたのであるから一応の評価はされているが、今のご時世に根性論を持ち出し、岩本輝夫を干すなど結構過激なやり方で批判も多かった。
バイクをすっ飛ばし試合開始1時間前に到着。駒場は何回か来ているが浦和周辺の道路がごチャついていて、いつきても迷う。浦和と言う土地は歴史があるワリには為政者に恵まれていない。だからであろう。家や商店がすき放題作られ、それぞれを細い道路で結んでいるから町全体が小規模集落の集合体のようになっている。都市計画が遅れているので各商店の権利関係がごちゃごちゃしてなかなか発展しない。
浦和レッズの試合であればまず座ることは不可能なメインスタンド中央中段に席を取り、一息つく。地球環境側ベンチは千羽鶴が飾られ、気合も伝わってくる。地球環境高校は通信教育制の授業のため、一般にいう学級とかクラスとかいうのはないらしい。そのため応援団が存在しない。代わりに浦和サポーター200人が赤いシャツを着て応援してくれることになっている。バックスタンドにはそれらしい観客が陣取り、応援の練習をしている。
試合開始30分前、松本監督登場。3年前と少しも変わらない、あの松本監督である。監督就任までの経緯-特にフロンターレに対する恨み-に話題があるため、マスコミが集中する。「松本監督ー」と声がかかると律儀に応対するあたり、以前と同じである。 試合開始5分前。選手入場。地球環境高校は選手が17人しかいない。宮崎日大出身者が多い。通信教育制の高校であるから選手もそれぞれ過去がある。前チームを追い出されたもの、松本監督を慕って来たもの。選手入場時は全員が手をつないで入場してきた。
試合開始。レベルは・・・・申し訳ないが神奈川県予選のほうがずっと高い。長野対島根だからやむをえないものはあるが・・・例えば地球環境がクリアボールをするシーンひとつとっても蹴り先が闇雲で、そばに味方がいるにもかかわらず、そのまま後方の敵にパスしてしまうケースが多い。また全般に視野が狭く、プレスを詰められると逆サイドに味方が走りこんでいるにもかかわらずより狭いサイドに逃げ込むケースも多い。島根も同様である。地球環境ディフェンスをかいくぐり、キーパーと1対1になるケースで横に味方選手がいるにもかかわらず強引に打つ、結果、枠の外に飛ぶ。またはコースが開いているにもかかわらず一人で打てない。お互いがボールを繋げるゲームができないまま前半終了。
いろいろ厳しいことを書いたがやむを得ない面もある。JFLクラスもそうなのだが、観戦記の中でも高校サッカー程度まで来るとテクニカルレポートというのはかきづらい。レベルをどこに合せて書いたらいいのかわからないからである。点をとればまだいいのだけれどね。
後半もペースは地球環境、決定的なチャンスは立正大、という場面が続く。変化が起きたのは後半20分。地球環境の9番、下司選手がディフェンスの間を強引に縫って先制。ここで完全にゲームは地球環境のものに。後半30分、下司選手がディフェンスの頭を超えるループシュート。これで試合は決定付けた。ロスタイムに双方1点づつ取り合い、ゲーム終了。地球環境高校が2回戦へ。試合自体は地球環境高の下司選手が目立ったが、どちらかというと立正大の決定的なチャンスを潰した守備力のほうに評価をつけたい。特にキーパーのポジショニング、DFの連携は見事でこれはキーパーコーチの存在が大きいのではないか。松本監督と一緒に地球環境高に渡った元川崎Fの笹原GKコーチが指導したのだろう。攻撃的チームは確かに魅力的であるが、それは確立した守備力があってはじめて成り立つのかもしれない。
試合終了直前からマスコミが松本監督を取り囲み始め、試合終了直後、挨拶も終わらぬうちに松本監督のヒーローインタビューが始まるのはいかがなものかとは思う。第二試合も見たかったが大晦日で忙しいので、さっさと退散。
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