おおかみこどもの雨と雪
★注意★このエントリーはストーリーの核心に触れる箇所があります。まだ見ていない人は注意してください。
世間は夏休みに入りましたので映画を見てきました。質の高さを誇る細田監督の作品なのでストーリーと絵がどう融合するのか楽しみです。子供向けの映画だと思っていたのですが、客層はカップルが多かったですね。この作品、確かにカップルで見るのがふさわしいものだったかなと思います。はっきり言って、大人が見る映画です。
この作品は見所が二つあります。一つはオオカミ人間の父親が二人目の子供を産んだ日に死んでしまうところ。そして二つ目は弟が人間ではなくオオカミとして親離れする所です。いずれも非常に悲しい場面で、そこをどう感じるかがこの作品の狙いなのかなと感じました。
多分、子供の目線と大人の目線では感じ方が違うと思います。子供の目線で見ると、物語の最後、人間の母親から離れ、オオカミとして生きていく弟の気持ち、そしてそれを見送る母親の気持ちが痛いほどわかると思います。ひ弱で泣き虫な弟が、狩りを覚え、人間ではなくオオカミとして旅立つその覚悟は画面を通してストレートに響きました。ある意味感動のクライマックスだったと思います。
大人の目線で見た場合、これはもう辛く、悲しい物語だと思います。まず、苦労して育てた子供がオオカミとして家を出て行ってしまうことが、母親にしてみればどれだけ辛いことなのか、痛さを通り越して泣きたくなります。その悲しい気持ちを、どんなに辛い場面でも笑って過ごせる母親の強さが救ってくれました。
そして最初の見所・・・二人目の子供を生んだ日に事故で死んでしまう場面ですが、そこをどう感じるかが作者の隠れた狙いなのかなと思います。何故、大雨の日に出て行って「狩り」をしに行ったのか?そこにオオカミの本能があったんだと観客が気づくかですね。その「オオカミの本能」がこの話全体の「肝」なのだと思います。
子供には気づかない、大人目線による伏線がそこにあります。単純なことです。何故、この父親は学生にもかかわらず避妊もせずに子供を産んだのか?一人目を産んですぐ二人目を産んだのか?そこには子供を産むことは動物の本能だからというのがあったのだと思います。食べること、子供を産むこと、それが本能だから子供が生まれた瞬間、狩りに行った。上から目線で見ればバカですよね。オオカミ男が子供を産めば出産から育児に至るまですさまじい苦労が待っているわけですから。その苦労を、例によってどんなに辛いときでも笑って過ごせる母親の明るさに救われます。あの母親の明るさがあったから二つの見所を前向きな気持ちで見ることができました。
ストーリーの感想はともかく、絵に透明感があってすがすがしかったです。日本の古民家、田園風景などを見ると、これが日本の映画なんだなとちょっと誇らしくなりました。
7月25日 ワーナーマイカル横浜みなとみらい
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