大宮アルディージャ 2-3 川崎フロンターレ
中断後の4試合を3勝1敗で終えました。対戦相手が鹿島、広島、浦和、大宮と全て川崎より上位チームであることを考えると、これ以上臨むべくもない、上出来の結果と言っていいと思います。敗れた広島戦にしても内容は決して悪くはなく、佐藤寿人一人にやられたようなもので、しかもその敗因を次の浦和戦に役立てることができました。J1の18チームの中では広島に次いで成功したチームと言えるでしょう。何回も言っているのですが、これが開幕戦からこの調子ならなあ・・・と。タラレバに限りはないんですけどねえ。
さて試合の話。この試合に勝てた最大の原因は大宮のスロベニア人選手が欠場したからと言っていいと思います。自分で書いていて情けないのですが、これは実際の所でしょう。その位、今日の大宮は強かったと思います。大宮には失礼な話ですが、スタメン発表で大宮のフォワードが鈴木規郎と長谷川悠と聞いて、これなら勝てるとすら思っていました。結局この二人に点を取られてズブズブ膠着してしまうあたりが今のフロンターレの立ち位置なのでしょう。ある意味わかりやすい試合でした。
大宮がすばらしいと思ったのは、守備面での約束事が強固で、川崎の攻撃陣の突破を許さなかったことだと思います。川崎が攻めてくるときは最終ラインに5人が等間隔で並び、そのどれかの間にドリブルで侵入すれば3人がかりでつぶす、クロスを入れればラインを上げてオフサイドを取る、そういう約束事が徹底されていました。逆に川崎は攻撃するときはディフェンダー陣も総出でラインを上げるので裏を取られやすく、特に斜めからのクロスで破られていました。川崎の2失点目はそのカタチでした。
今までの川崎ならば、この2点目の逆転で試合は終わり、負けていたと思います。そこを驚異的なキープ力と個人技でこじ開けたのが大久保でした。大久保のコメントによると、全員でこじ開けたゴールのようですが、私から見れば大久保を信頼できるから攻めあげることができたのだと思います。リスクを背負って、点を取りに行ける信頼感が大久保にあります。それが川崎の強さなのでしょう。試合終了間際のPKはその褒美としか言いようがありません。
ただ、この試合で川崎がすばらしかったところは先制点の部分だと思います。登里から中村憲剛へ縦にロングパスが入り、憲剛はダイレクトで逆サイドの小林に送ります。小林はそのパスを直接蹴り込みました。登里のパスから小林のゴールまではほんの数秒。この間にボールは70メートル以上は動きました。このプレーだけ見ればチャンピオンズリーグでも滅多に見られないダイレクトプレーです。それを雨の中やれたことに驚きを感じます。強力なフォワード陣が注目を浴びる川崎ですが、それを支えているのは稲本と山本と憲剛の中盤です。その堅さがフォワードを生かしています。チームの堅さだけ見れば全盛期のジュニーニョがいた川崎よりも強いのではないかと感じますね。あの頃の川崎はジュニーニョのチームでしたから。今の川崎は大久保のチームなのか、レナトとのチームなのか、そう考えるとどれも違います。
前節の浦和戦は私の親族の葬儀が入ってしまい、観戦ができませんでした。ですからこの試合は行く気満々だったのですが雨の中、大宮まで行くのは面倒だなと感じたのも事実です。でも行って良かったです。川崎が勝ったことはもちろんですが、そういう素晴らしいを見ることができたのは、サッカー観戦をする上で何よりも幸せなことだなと思います。
NACK5スタジアム 観衆:7,412人