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2013年8月

2013/08/30

川崎フロンターレ 2-1 大宮アルディージャ

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 前半9分で3点はいるという凄い試合でした。しかし、フォワード登録が大久保の他には登里と森谷ってなんなんですか。あんなに沢山いたフォワードはどこに行ってしまったのかと思います。登里もフォワードをやったりディフェンダーをやったり大変だなあと思います。器用貧乏なのが不幸なのか幸いなのか。小宮山が戻って左サイドバックが埋まってしまったので、変に使い回しをされいます。フロンターレクラスのチームで複数のポジションでスタメン張れるというのは凄いことなのですが・・なにかこう・・このポジションは登里におまかせ!という気持ちになれないんですよね。

 試合の見所は結構あって、まずは憲剛の飛び出し先制弾。憲剛が飛び出してキーパーと一対一でゴールを決めたシーンって初めて見たような気がします。ゴール前でパスを受けて得点は時々ありますけどね。そして大久保の振れまくったミドルシュート。あれはキーパーはとれないと感じさせるスーパーゴールでした。その後小宮山が立て続けにポストを叩くシュートを決めていたので、追加点を取っていれば気楽に見れたのですが、そうはいかないのがフロンターレです。あとの80分はひやひやのしっぱなしでした。

 試合は全体的に概ね互角で、フロンターレがやや押されているかなといった状況。レナトの負傷は結構痛く、小宮山のオーバーラップが効いている程度。やっぱりレギュラーフォワードが欠けていると痛いですね。といっても大久保の一人で敵のディフェンダー2人をつり出していますけど。

 そういうなかで追加点が取れれば楽な展開でした。前半無得点だったことが後半の守備固めにつながったのだと思います。
 後半は鬼の守備固めでひやひや物でした。フロンターレの交代が登里→實藤、森谷→福森で1トップ6バックに。大宮が渡邉→鈴木で3トップに。しかもスロベニア代表のズラタンは出てくるしで嫌な予感ばかりしていました。

 そこを持ちこたえて2-1のまま試合を終わらせたのは見事だと思います。苦しい中で守り切ったのは価値があります。まあ相変わらず無失点で終わらせることができないのが難点ですが、今回はPKによる失点であって流れからの失点ではないのでよしとしましょう。

 フロンターレの順位は4位のセレッソまで勝ち点3差、12位のFC東京までも勝ち点3差とかなりおっかない順位です。中位は興味がなくなる順位と言われていますが、私はそうは思いません。そして現在の川崎のチーム力はそれほど悲観にならなくてもいいというのが嬉しいことだと思います。

 等々力陸上競技場 観衆:14,026人(公式発表)

2013/08/28

【映画】 宇宙戦艦ヤマト2199

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昨年4月の上映開始から一ヶ月おきに上映され、今回の第7章で完結しました。全7編全部観ましたよ。ある意味感慨深いです。感想はいろいろありますが、何よりも初作(昭和49年)のストーリーをほぼそのままリメイクに徹した部分が良かったなと思います。

ここ数年、昔懐かしのアニメーションが映画化されていますが、その多くが現代的な解釈のもとストーリーを変えて失敗しています。オリジナルが面白いからヒットしたわけですからそこの部分は手をつけてはいけないんですよ。たとえ原作品がストーリー的におかしくても。中途半端に現実的な話を盛り込むからしらけてしまうんです。サイボーグ009とか、タイムボカンとか。ガッチャマンはまだ見ていないけど、同じような気がします。

この作品が素晴らしいのは、リメイク前の作品の、明らかにおかしい部分を抹消せず、後付けに解釈をつけてそのまんま上映しているところです。たとえば、

 旧作:宇宙空間なのに急降下爆撃で攻撃したり、飛行甲板を持つ空母が出たりする部分→新作:重力圏下での会戦に設定を変更し、逆に艦載機が離艦時に一瞬沈み込む演出までつけた。

 旧作:敵のドリルミサイル内に制御室がある理由が不明→新作:元々工事現場の機材を転用したものだからと説明を追加

 旧作:そもそも敵の兵器のデザインが地球のものにそっくり→新作:敵ガミラス人のDNAは地球人のDNAとほとんど同じだから兵器デザインも似ている。さらに敵の空母にカタパルトがあったり、戦車の履帯は地球側と全く同じとか、逆に開き直っています。

 他にもいろいろあります。何しろ、私が小学生の時に「そこはおかしい」と突っ込みを入れまくっていた部分がそのまんま設定付けをし直して出してきたのは拍手ものですよ。そのおかしい部分を含めてヤマトの面白さはあるのですから。

 その昔懐かしの部分に加え、敵側の設定を細かくしてストーリーに深みを出しています。たとえば、敵にも家族がいて帰りを待っている。敵は独裁国家なのでクーデターを起こす人物がいる。敵は侵略国家なので非侵略者達は二等市民扱いされている。その二等市民達が兵となってヤマトと戦うなど。そういう部分が話を引き込ませる魅力になっていました。(敵側にも戦う事情があるという設定を作ったのはヤマトが初めてだったそうです。それが後のガンダムに引き継がれる訳ですが)

 話自体は、汚染された地球を救うため、放射能除去装置を取りにアンドロメダ星雲まで一往復するという、非常にわかりやすいものですから、あとは航海中の戦闘シーンをいかに楽しむかがこの作品のキモなわけです。それがそのまんま踏襲したことは本当に満足でした。

 ただ、それでも初回作品から40年近くたったわけです。当時小学生のだった私が今、この作品を見ると、年を取ったのかなあと感じてしまう部分もあります。それはどういう所かというと、極端に好戦的な部分が目立つのですよ。その戦う部分がなんだかなあ・・と。

 戦うか、逃げるかの場面で常に戦うことを選択するのはやむを得ないとしても、何故そんなに戦う?と問い詰めたい場面がそこかしこに出てきます。まあぶっちぇけた話、現実の戦争の常識からかけ離れているというか、そんなに殺し合いをやりたいのか、とか。

 現実は全面戦争とは消耗戦で、消耗しきった方の負けです。損傷した兵器が次のシーンで直っているのはヨシとしても、兵隊は死んだらそれで終わりなわけです。そう考えると、安易に白兵戦を選択したり、指揮官が単機で敵の勢力圏化を強行偵察したり、ようは死ぬことを全く考えない命令を頻繁に出すのはどうなのか、とか。

 あとは初回作品の時からそうなのですが、敵の大艦隊は斉射でもヤマトには当たらない。あたっても小破ですんでしまう。逆にヤマトの主砲は百発百中、艦載機のミサイル一発で大型空母が爆沈するとか、いくらなんでも一方的すぎるだろうというシーンがてんこ盛りで出てきます。また敵本星の都市を破壊しまくったりと無差別に虐殺するのもどうかなと。そういう、戦闘をできるだけ回避して生存性を高めるという戦争の常識が全くない部分は見ていてなんだかなあと思いました。敵をバンバンなぎ倒す所に爽快感を覚える映画なんだという風に見ちゃうのが今の自分なのかなあ。

 まあそういう所を突っ込まず、40年近く前に夢中でみたあの作品が、綺麗なコンピュータグラフィックでもう一度見られるというのが作品を最大に楽しめるところなのでしょう。そこに徹すると満足できると思います。

 8月24日 横浜みなとみらい ブルグ13

2013/08/26

横浜FC 2-2 ガンバ大阪

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 ガンバにひるむことなく真正面から戦い続けた姿勢は素晴らしいと思います。これは興業試合を行う上で一番大切なことです。そしてこういう姿勢を貫いて勝ち続ける事ができたその先にJ1昇格があり、J1残留があるのだと思います。実際、J2としてはかなりレベルの高い試合でした。この試合を見に来た一般のお客さんはガンバを、そしてカズを目的に来たのだと思いますが、横浜FCの戦いぶりに好感を持ってくれたと思います。仮に負けたとしても、次も見たいと思ってくれたでしょう。

 でもまあ引き分けは引き分けなわけで、実質的には横浜FCのJ2の「位」を確定させてしまった試合でもありました。J1とのレベルの差、J2を勝ち抜けない理由、そういう部分も薄ら薄ら感じさせてくれました。

 試合の中身を言うのならば、大久保を控えにするという、訳のわからないスタメンが横浜FCにとって苦しい展開をさせてしまいました。試合開始直後、一旦様子見をしたガンバの気の緩みをついて速攻で点をとった部分と横浜FCのディフェンスが強固で対人で負けていない部分の二つが対等な試合に持ち込めたのかなと思います。宇佐美の天才ぶりが横浜FCのフォワード陣よりも頭一つ抜け出していて、結局その部分で逆転されてしまいました。その部分さえなんとかできればもっと有利に試合を進めることができるのになあ・・・そこが悔しいところです。

 いずれにしろ横浜FCはJ1昇格を狙うのならば、J1昇格後を見据えた試合をし続けることだと思います。それは守って守ってカウンターで勝つのではなく、ポゼッションを取りながら点を取り、そして勝つサッカーです。J1から降格してきたチームにそういう試合ができるのかは難しい話なのかもしれませんが、それを難しいと言っているようじゃJ1に昇格しても勝てるチームはありません。

 ニッパツ三ツ沢球技場 観衆:12,490人

2013/08/21

日本代表 2-4 ウルグアイ代表

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 多くの人が酷評するほどの試合ではなかったと思います。日本代表はディフェンスに致命的な問題を抱えていて、その対策が全くとれていないのが勝てない原因だと思っています。この試合やコンフェデレーションズカップだけでなく、優勝した東アジアカップでもそうでしたよね。でも点は取れているわけですから、対策は立てやすいと思います。いや、たてやすいと言ってしまうともの凄い語弊が出るのですが、少なくとも点が取れない悩みに比べればずっとマシです。

 いつもの辛口評論家がザッケローニ監督を交代させろとわめかれていますが、目の前の試合の勝ち負けで判断する物ではないと思います。守備的に守れば確かに失点は減るでしょうが、ボールはつながらなくなります。現在のシステムで守備側のミスをいかに減らしていくか、しかないでしょう。

 南アフリカ大会時より後退したと言われていますが、今年に入ってからの対戦相手は2009年の時よりもずっと上位の国ばかりです。去年から見ればフランス、ブラジル×2、イタリア、メキシコ、そしてウルグアイです。前回の大会前、対戦した強敵というとオランダがあげられますが、それだって惨敗しました。前回の東アジア大会だって韓国に負けましたし。今後、守備的な戦に変更して、それで勝ったとしてもそれは2010年から全く進歩していません。

 まだ1年あります。目の前の試合に一々いらつかないで、ゆっくり見てもいいと思います。

 宮城スタジアム 観衆:45,883人(チケット完売)

2013/08/19

横浜FC 1-0 京都サンガ

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 岐阜が神戸に勝つこともあるんだから横浜FCが京都に勝つことだってあるだろう、そう感じさせた試合でした。試合のペースは圧倒的に京都が握っていて、横浜FCは押されてばかり、相変わらずフォワードにボールが行かない、そんな展開でした。京都の調子も良くないので、スコアレスドローか京都が1-0で逃げ切りか・・・そう予想しながら見ていました。まさか勝つとは思いませんでした。

 大久保をスタメンから外す、という時点ですでにシーズンは終わったと思っていました。どう見ても彼を上回るフォワードはいませんでしたし、大久保にマークがつくから他の選手達にもボールが回るんだろうと思っていました。ここ数試合の駄目だめさはこの辺が原因だと思っています。フォワードの猫の目起用とかね。実際、今日の試合だって大久保が入ってから明らかにペースが変わりましたよ。この試合のMVPは点を決めたペスンジンでしたが、どう見ても大久保かあるいはビッグセーブを連発したシュナイダーだと思います。こういう試合でMVPにキーパーを選ばないんだったらどういう試合で選ぶんだとすら思います。

 繰り返して描いてしまいますが、試合運びは明らかに京都の方がうまかったです。京都の敗因(というか無得点な理由)は山瀬の効きの悪さにありました。山瀬はボールを運ぶ技術はうまいのですが、そこから決めることができません。原がマークされるとそこで終わります。横浜FCはもっと酷く、ペナルティエリア前でボールを取られるので、京都が押しつつも両者無得点、という試合展開になったのでしょう。まあ結局はフォワードの差ですね。ペスンジンのゴールは、京都のキーパーが一瞬の判断遅れによるものでした。他の選手の陰になったのかもしれませんが、一瞬の飛び出しが遅れたので、ゴールエリアの中でキャッチングしてしまい、横浜の得点となりました。ですからこの試合はフォワードの差であると同時にキーパーの差でもありました。なんだかんだ言ってもシュナイダーはうまいと思いますよ。

 J2の試合も後半戦に入り、横浜FCはプレーオフを狙うことよりも残留を意識する方が現実的になりました。実際は残留すると思いますが、最下位との勝ち点差を考えると、展開次第によってはずぶずぶ行くんじゃないかなと思います。この試合は勝ちましたけど、横浜FCが抱えている問題点は何一つ解決していません。

 ニッパツ三ツ沢球技場 観衆:5,309人(公式発表)

 

川崎フロンターレ 2-2 FC東京

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 まあ毎回面白おかしい試合を続けてくれるチームだなとおもいます。いい意味でも悪い意味でも。面白いと感じる理由は簡単で、非常にわかりやすい試合運びをするからです。ディフェンスもボランチもトップ下もフォワードも、やるべきことをきちんとやってボールを前に進める。フォワード2人にマークがつけばトップ下の憲剛が突っ込んでくる。ディフェンダーがボールを奪えば森谷や山本が前線につなげる。そういうテンポ良く展開するサッカーって今ではなかなか見ることができませんよ。ヨーロッパのサッカーを見る前に一度フロンターレの試合を見るべしだと思いますね。

 もっとフロンターレのサポーターから見れば、勝っていればそうですね、勝てばね、となるのですけど。なんでこう毎回毎回失点するのかなあ・・・・。それもつまんない点の取られ方で。

 川崎は毎年8月になると調子を崩す傾向があり、今年もそうなるかなあと思っていたのですが、案の定そうなっています。それも守備のミスで負け、よくて引き分けという、非常にもったいない内容で、まあフロンターレとはそういうものと言っていいので気にしても仕方がないのでしょう。

 冒頭の説明をひっくり返してしまいますが、勝ちきれないのはディフェンスが馬鹿馬鹿しいほどもろく、対人プレーが弱いのが原因だと思っています。特にセンターバック。攻撃は全く問題がないほど強く、美しいので課題は守備だけなんですよね。攻撃型のチームは失点をしやすいというのは確かにありますが、それは攻撃するときはディフェンスラインを上げるので裏を取られやすいというのが理由です。でもフロンターレってきちんと守備ブロックを作っていても失点するんですよ。敵のフォワードがステルスのようにサイドバックとセンターバックの間をすり抜けていって、シュートを決めてしまう。それが毎試合続く物ですから、失点をしても怒りすらわいてきません。もういいよ、勝てば・・そういう気持ちになります。逆にネガティブな意味でもわかりやすい試合運びをしていると言えるのですが。

 まあ負けなかったからよしとしましょう。ジェシも戻ってきたのでディフェンスもある程度は持ちこたえてくれるでしょう。ディフェンスラインは連携が命なので、このあたりが不安ですけどね。まあ優勝から離れた順位にいるのに試合を楽しめるというのは、それはそれで幸せなことだと思うことにします。

 等々力陸上競技場 観衆:17,864人(チケット完売)

2013/08/17

【映画】 終戦のエンペラー

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 8月に入り、戦争にまつわる映画が増えてきました。アニメ「風立ちぬ」に次いで、今度は実写です。この作品は昭和天皇の戦争責任を問うた映画です。天皇陛下をモデルにした映画って初めて見たような気がします。天皇に戦争の責任はあったのか、というのは全ての日本人に取っては非常に重い話で、簡単に口に出せないものだと思っていました。それが映画に登場するのですから時代は変わったものです。もっとも映画はアメリカ製ですが。

 日本の映画会社ならばもう少しソフトに作るだろうという光景も、リアリティ満載で表現していました。廃棄された飛行機で埋め尽くされた厚木飛行場、余裕を見せつけて飛行機から降りるマッカーサー。リアリティたっぷりに描いた焼け野原の東京、すす汚れておびえた目で見る日本人達。戦争に負けることがいかに惨めであることが、嫌と言うほど見せつけてくれます。

 アメリカの視点から見た天皇制というものが非常に面白かったです。日本人達は自分で物を決めることができない、だから責任の所在が全くわからない。天皇はどこまで権力を握り、この戦争に関与したのか、いくら調べてもわからない、それゆえ調べる対象が次々と変わる。現代に通じる日本人の問題点をよく表しています。現代だってそうですよね。福島原発事故は誰に責任があるのでしょうか?先日の裁判では東電関係者は全員無罪になりました。

 私は元々、昭和天皇には戦争責任があると思っていました。実際に命じたのが天皇でなかったとしても、天皇の名の下に全員が狂信的に戦って死んでいったわけですから、それで責任がないはずはないと思っています。昭和天皇が処刑されなかったのは、処刑すれば日本人はGHQに不信感を抱き、ソ連の援助の元に共産化が進むだろう。アメリカはそれを阻止したいがために処刑はしなかった、そういうふうに考えていました。

 実際、映画のストーリーは概ねその通り進んでいきます。ただ、実際の所はそう簡単な物ではなかった。ワシントンでは大統領選挙を控えていて、票を集めるために天皇を処刑せよと声が高まっている。調査期間は10日間。時間がないままで証人を追っていくGHQ。責任者のフェラーズ准将は日本人に恋人を持ち、その恋人の安否を気にかけながら調査をする。戦争責任の追及という点で、GHQはここまで調べていたこと、知日派を動員していたこと、多少のフィクションが入っているとは言え、非常に客観的に丁寧に戦争直後の日本を描いているのが印象的でした。

 この映画を見ていろいろとわかったことがあります。戦争直後であっても皇宮警察が非常に強い権力をもっていてGHQといえども皇居の中に入ることができなかったというのには驚きました。結局の所、御所の職員(この映画のプロデューサーの祖父)を説き伏せたことにより、マッカーサーが御所に赴くのではなく、昭和天皇が日比谷のGHQに出向く形で実現したというのは初めて知りました。到着後、玄関に赤絨毯がしかれ、MP一同が最高の儀礼をもって出迎える様は敗戦国の元首に対する対応をとっていたというも意外でした。そこにあるのは全て元首に対する敬意です。

 その先の話は概ね史実通りです。映画で見る昭和天皇は全く「現人神」に見えず、痩せた背の低い日本人にしか見えないことも、スクリーンを通してみると痛々しく見えます。実際もそうだったのでしょう。

 この映画は米軍将校と日本人女性とのロマンスも平行して描かれています。ここの部分はフィクションですが、話を引き込ませる手法としては成功していますね。この部分は「風立ちぬ」と同じです。ただ、風立ちぬがあくまでもエリート技術者の半生を綴っていたのに対し、この映画は戦争に負けた国のあり方を強く出している分、ずっと現実味はあります。ここには「風立ちぬ」で感じたプロジェクトX的な未来は感じられません。そこにあるのは戦争で負けるというのはこういう事なんだ、という実感だけでした。

 8月7日 横浜ブルク13

 

 

2013/08/05

横浜FC 1-2 ギラヴァンツ北九州

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 毎試合毎試合これだけフォワードを入れ替えて、それで点を取れ、勝てなんて無理な話だよなと思いました。個人的には大久保+黒津、シャドウに武岡でいいんじゃないかと思っていますが、山口監督はそれじゃダメと思う根拠でもあるのでしょうか。もちろん期待しているほどの働きができていない、というのが本音なのかもしれませんが、今のJ2で一人で展開できるフォワードが何人いるのだと思います。

 点が取れない理由は明白で、中盤が糞ずまっているからですよ。人を動かさずにボールを動かそう、前線までボールを運べたらフォワードはシュートしてねって、そんなの無理ですって。黒津にしてもカズにしてもボールを受けた時点では相手のディフェンスが複数人びったり張り付いているんですから、そこで終わりです。私は池元、八角、渡邉と、元横浜FC選手達の水の運びっぷりに感心しました。自己犠牲って美しいものなんだなと。

 黒津、渡辺匠、西嶋と、かってJ2で一線風靡した選手達が期待に応えていないのは事実です。でもそれってシーズン開始前からある程度は読めていたんじゃないかなと思います。だってJ2だって毎年戦術の進歩があるわけで、それでベテラン選手は年を取っていくわけで、そう考えればある程度は仕方がないでしょう。ある程度は。

 攻撃が中央突破ばかりでサイドが全く使えてない。サイドバックは相変わらずオーバーラップしないし、中盤はフリーな位置をつかもうともしない。動くなという指示でも貰っているのかなとすら感じます。恐ろしいのはこれでもなお6位プレーオフまでの皮算用ができてしまうことで、プレーオフというのも残酷な制度だなと思いますね。でもさすがにもう無理か。

 もう後半戦も5試合が経過しました。これから先はいかに来年につなげることができるかになります。毎年毎年選手を総取っ替えしているチームに未来はあるのか、毎年毎年言われ続けていますが、今年もその見極めに入ってきています。

 ニッパツ三ツ沢球技場 観衆:4,458人(公式発表)

2013/08/04

【映画】 風立ちぬ

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 自分の感想はおいといて、全体の話として書きます。少し重いです。

 この作品はゼロ戦の設計者、堀越二郎の半生をベースに恋愛を織り交ぜたフィクションです。戦闘機の設計の話は事実ですが、恋愛については小説「風立ちぬ」をベースにしたフィクションで、さらに夢の中でいろいろな飛行機が出てくるので、ドキュメンタリーなのかファンタジーなのか見極めが難しい映画でした。

 戦争の話が多く、しかも日の丸をつけた戦闘機や爆撃機がバンバン出てきます。それはキナ臭く、さらにタバコを拭かすシーンが頻発するので子供には見せられないと感じる人も多いでしょうね。今までのジブリ作品と同じ感覚で見ると確実に裏切られます。よくR指定にならなかったなとすら思います。

 では、どういう人が楽しめるのか、書いてみます。

 まず、NHKの「プロジェクトX」のような話を楽しめる人は感動すると思います。戦闘機の開発で日本がドイツに20年遅れている状態で、しかもドイツの技術者に馬鹿にされ屈辱をかんじつつもそれに追いつこうと努力する。最初に設計した七試艦上戦闘機はアヒルのような格好で試験飛行で墜落し、パイロットは殉職する。苦悩を感じつつも決してあきらめず、次にチャンスをもらった九試単座戦闘機で欧米の戦闘機に負けない性能をたたき出し、それが後の十二試艦上戦闘機、つまりゼロ戦につながっていく。この作品はゼロ戦の登場まできっちり描ききっています。ちなみにこの作品のポスターに書かれている飛行機は九試単座戦闘機です。そして劇中で二郎が開発陣に話した「引込脚については次の戦闘機で採用しよう」という台詞の「次の戦闘機」とはゼロ戦のことです。

 次に純愛小説が好きな人は楽しめると思います。帝国大学(東大)を首席で卒業したエリート技師と結核を患った上流階級のセレブ少女の純愛話が切なくて悲しくて、でも精一杯生きて、末期に身を隠す話は私も涙が出ました。軽井沢の高級ホテルで食事を取りながらプロポーズなんて素敵すぎますよね。昭和初期の結核の治療というのは全く知らない世界の話ですが、冷たい山の中、外気にさらされながら毛布にくるまって寝るというのは辛いんだろうなと思います。それでも人を思い続けること・・・興味がない人にはベタベタに写るかもしれませんが、そこを楽しめるかどうかは人によります。見る人の性格にもよるし、理解度にもよります。ヒロインの菜穂子が主人公の元を去るシーンを酷評する人がいますが、昭和初期では結核患者が町の中にいることなど許されない時代です。結核は空気感染する伝染病で致死率50%を超えたわけですから、夫のことを思えば山の病院に帰るのは当然で、それも黙って去る以外の方法はなかったでしょう。

(話は外れますが、現在でも山の中をドライブすると、いきなり国立病院が出てきて驚くことがあります。そういう施設は元々結核やライ病の療養所で、要はこの病気にかかると隔離するしか治療法がなかった、それは治療ですらなく、実際は一般人に感染させないようにするしかなかったということです)

 この作品はそれらが密接に絡み合いながら話を進めていきます。ポスターに描かれている「堀越二郎と堀辰雄に敬意をこめて」というのはそういうことです。飛行機を作ること=軍用機を作ることでしかなかった時代。作った飛行機が多くの人を殺し、操縦士自身も撃墜され殺されていく時代。その中で前向きに生き、人を好きになり、別れ、死に、自分だけは生き残っていく様。そこから出る苦労や苦悩が、タバコを吸うことで気を紛らわせているんだなと感じさせます。そういう時代です。分煙なんてなかったし、仕事したくなければニートになるような現代とは訳が違います。

 そういうことが理解できれば、結核患者が寝ているその横でタバコを吸っている意味もわかるし、二郎が夢を見る中でゼロ戦の大群が飛んでいって、それを「一機も帰ってこなかった」と言った意味もわかるし、「それでもあなたは生きなければならない」と言われた意味もわかると思います。 この作品の私の感想ですが、もちろん作品の意図は理解した上で、技術的な挑戦の部分も楽しめたし恋愛の部分も楽しめました。

 逆にそういう意図を全く理解せず(あるいは意図的に無視して)見るとかなり酷い作品に見えるでしょう。日の丸をつけた戦闘機の大群に嫌悪感を感じる人もいるでしょうし、頻発する紫煙を毛嫌いする人だって多いと思います。なによりもそれが何故ジブリで出すのか?というところが理解できないかもしれません。正直に言うと私もわかりません。

 一説では、宮崎駿氏は戦闘機や戦艦は大好きだけど、戦争は大嫌いだった。その「矛盾」した気持ちにけじめをつけるために作ったとの事です。本当かどうかはわかりませんが。

 でもそれっておかしな話です。機能を極限に追求した製品は例外なく美しく格好いいものです。それは兵器に限らず文房具でもスタジアムでもみんなそうです。兵器というのはデザインに一切の無駄がなく、それ故に格好良く、あこがれの対象になり得ます。男の子がカッコいいものにあこがれて何が悪いのかと思います。

 では兵器が好きな人は戦争が好きなのか?それも違います。戦争とは外交問題を解決する手段でしかありません。戦争は人を殺すことを楽しむものではありません。世界中のどの時代の軍人も、現在の日本の自衛隊員も、実戦を経験せずに退役できることを願っています。仮に戦地に行くことになったとしても、それはそれが自分の使命だからやっているだけです。ですから宮崎駿氏がけじめをつける必要なんてありません。この作品をジブリが出す必要性がわからない、という部分については私もそう思います。


 8月1日 辻堂:109シネマズ湘南

 

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