広島 3-2 巨人
何を隠そう私は広島のファンである。サンフレッチェではない。カープのほうだ。サンフレッチェなんかどうでもよい。昭和50年の初優勝以来だからもう28年目ということになる。何故カープなのか?生粋の市民球団で貧乏のどん底を経験し、広島市民球場の前に樽をおいて寄付金を募りながらもビリにつぐビリに。それが創立23年目にして初優勝。当時小学二年生の私はこの男意気に惚れて現在に至るまで広島ファンを名乗っている。この辺のところ横浜FCとダブるなあ。
現在40歳以上の人は大抵野球ファン(団塊の世代は巨人ファン)である。彼らの口癖は「サッカーより野球のほうが絶対面白い。サッカーなんてどこが楽しいのかわからない」と言う。まあ聞き流せばいいのだけど少し反論してみる。サッカーより野球のほうが見ていて楽しいのは以下の理由だからだ。
①野球(日本のプロ野球に限定)はナマで見るよりテレビで見たほうが楽しい。球場で試合を見ると選手の姿が非常に小さく迫力にかける。テレビの望遠レンズでセンターからピッチャーを大写しにすれば自分がバッターに勝負しているような錯覚に陥る。自宅でビールをグビグビ飲みながら巨人が勝っていくプロセスを眺めていのは楽しいことだからだ。大相撲がどんなに人気でも国技館に行ったことがない人が多いのも同じ理由だ。
②サッカー(特にプロサッカー)はテレビで見るよりナマで見たほうが楽しい。サッカーの楽しさは攻撃の組み立てにある。テレビで見ているとディフェンスが移ったときはオフェンスのポジショニングがわからない。フリーの選手が誰でどういうルートを使ってゴールまでボールをつないでいくのか、それがテレビではわからない。ここ数試合の日本代表がどんなに注目されていても視聴率が目立たないのはそういう理由もあると思う。
それゆえに野球好きが「サッカーより野球のほうが見ていて楽しい」というのはある意味当たり前。私の父親は熱心な巨人ファンだが東京ドームに行くのは数年に1回ということから証明されている。楽しいなら現場に行って見に行けばいいじゃん、そう思うのだけれどね。
4/16、ひょんなことから巨人広島のバックネット裏2階席のチケットが手に入った。会社の同僚と私の分、2枚。当然招待券で、マトモに買うといくらするのかわからないが当然見に行く。広島カープの試合を見るのはおそらく10年ぶり。選手は当然入れ替わっているがネットやテレビで大体知っているので楽しめるだろう。
試合は午後6時から始まる。平日である以上もちろん試合開始前から見にいけるわけはない。定時に退社して水道橋へ。同僚の話ではドームの中で食事をすると高いのであらかじめビールと弁当は仕入れていく。彼はよくドームに来ているだけあって手際がいい。ドーム内の食事料金だがビールが800円、弁当が1300円ってなん?狂気の沙汰としか思えないような価格の商品が売店の商品棚に並ぶ。
7時前にドーム入り。3回の表、広島の攻撃で1-0で広島リード。広島のピッチャーは佐々岡。巨人は高橋尚。巨人はともかく広島はエースの登板で投手戦が予想される。しかし久しぶりに見る広島のスタメンはものの見事に選手が入れ替わり知らない人だらけ。誰だシーツって。ブーツなら知っているが。巨人は3回裏、犠牲フライで同点。
試合は淡々と進む。というより凡打凡打の連続で見せ場が無い。少なくとも高橋は絶好調で広島は打てそうにない。4番の前田の打率が1割5分ってなんだ。やる気あんのかゴルアとどなりたくなるがしょうがない。
東京ドームはガラガラだった。外野の両翼は埋まっているし立ち見も出たがそれ以外は5分くらいの入りだった。ブロック単位に大きく空席が目立ち、プロ野球の凋落を感じさせる。テレビ放映に頼ってきたツケだろう。巨人戦のチケットが手に入らないというのはウソだと思う。少なくとも東京ドームでは普通に売っている。手に入りにくいのは人気がないのではなく、販売ルートが極端に特殊だからだ。ぴあもローソンもCNでも手に入らなければ馬鹿馬鹿しくて見に行く気が無くなる。こういうところが殿様商売なのだろう。
東京ドームの収容人員は5万5千人だそうだがこれだって本当かと思う。パッと見で比べても国立競技場の方が多い。比較で言うと4万人収容のビックスワンと同じ位ではないか?空席数の比率から見て今日の観客数は2万5千人と見たが果たして何人と発表するか。(発表は5万5千人でした。つまり満員御礼。いやあ笑ってしまう)
バッターボックス裏で見やすいとはいえ投手戦の展開に飽きがきてトイレにでも行こうかと思った瞬間、カープ木村拓がレフトスタンドにライナー性のホームラン。2-1。出会い頭の一発と言う奴で高橋尚も運がなかった。その裏ペタジーニがお返しの同点ソロ。やっぱりこのバッターはやってくれる。松井不在の現在、巨人はペタジーニだけで持っているようなチームだろう。
行き詰る投手戦が打撃戦になったかと思いきやさにあらず、後続が続かない。両チームともピッチャーがいいのでなかなか点が取れない。しかし勝敗は7回、広島の西山のスクイズであっさりついた。この回先頭バッターで出塁した栗原は盗塁とエラーで一死三塁。ここで西山がいきなりバント。本塁は間に合わず広島勝ち越し。山本浩二監督のセンスがさえる。
最終回の広島の攻撃、好投を見せた佐々岡を投げさせるか代打を送るか非常に悩むところであるが山本浩二監督は代打を選択。この場面、実は東京ドームが唯一沸いた場面でもあった。代打は凡退。その後のリリーフピッチャーが打ち崩せたら広島のギャンブル負けであるがリリーフの氷川がきちんと押さえゲームセット。3-2で広島の勝ち。私が広島の勝ちに立ち会える瞬間は滅多にないので素直にうれしい。試合時間は2時間30分。異例の短ゲームであった。
18:00~東京都文京区 東京ドーム 晴れ 観衆 55,000人